苦手な季節だな・・と思いつつ、
夏ならでは、の楽しみの一つに数えているのが、
ヒグラシの声。
前に住んでいたところでは
聞く事が無かったので、とてもうれしい。
そして、夕暮れだけではなく
明け方の薄暗い時に鳴く、というのも
初めて知った。
今年の、ぶり返した梅雨のような天気の日に
空が暗くなれば昼間でも声が聞こえていたから、
あたりの明るさによって鳴く、という習性なのかしら・・。
むかし、子どもの頃住んでいたところでは
夏の暮れ方に遠くから1匹だけの「カナカナ・・」が響いていた。
夕焼けからやがて夜に向かう
ちょっとさみしいような、懐かしいような時間の
風景と一緒になっていて、
大人になってからヒグラシの声は、
ある特別な情感を持って思い出されるものの
一つだった。
頻繁にヒグラシの声が聞けるようになった今、
子どもの頃の思い出とはまた違った
印象も持ちつつあるけれど、
それでもこの響きは、だれかが遠い山で
見た事も無い楽器を奏でているのでは・・
と夢想するような、不思議な気分にさせられる。
